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brillante fiorire の会 公開レッスン講座レポート🎶

2026.03.04

brillante fiorireの会は、ピアニスト金澤由美子先生主宰による学びの場です。

この度は、日本を代表する実力派ピアニスト白石光隆先生をお迎えし、
「伴奏者の心得」をテーマにした公開レッスンが開催されました。


会場 Chez Claude

講座では、

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト ピアノ・ソナタ 第11番 イ長調 K331 より 第1楽章
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン ピアノ・ソナタ 第8番 ハ短調 Op.13 より 第1楽章
フレデリック・ショパン ノクターン 第10番 変イ長調 Op.32-2

それぞれの作品を一曲ずつ取り上げ、楽曲分析や奏法、そして作品の背景にある精神性まで、
丁寧にご教授いただきました。

私はショパンを弾かせていただきました。

曲の「佇まい」を考える

今回とても印象的だったのは、”曲の佇まい”という視点です。

・モーツァルト=舞台(オペラ)
・ベートーヴェン=生命力
・ショパン=旋律は存分に歌い、伴奏はそっと添える

作曲家の精神や時代背景に耳を澄ますことで、音の立ち上がりや重心、呼吸の置き方まで変わってくることを改めて実感しました。

時代の変化と芸術化の自立

古典派前期から中期へ
その移り変わりの象徴のひとつが「かつら(ウィッグ)」です。

モーツァルトの時代、音楽家は宮廷や貴族社会に仕える立場でした。
白いかつらは王侯貴族の象徴であり、形式や装いもまた重要な意味を持っていました。

しかし、フランス革命を経て時代は大きく変化します。
芸術化は”仕える存在”から、”個”を持つ存在へ。

ベートーヴェンの肖像画に見られる自然な乱れ髪は、まさに内面や精神性を重んじる時代の象徴とも言えるでしょう。
芸術化の自立と個性が、音楽にも色濃く反映されていきます。


ベーゼンドルファー

ピアノの進化と作品の変化

古典派からロマン派へ
ベートーヴェンからショパンへと時代が進む中で、ピアノも大きな進化を遂げました。

ベートーヴェンの時代
・音域5~6オクターブのフォルテピアノ
・音の減衰が早く、響きは短め
・楽器を押し広げながら生まれた音楽
・運命と対峙するドラマ性

力強い和音、動機の展開、鮮明な強弱のコントラストによって構築される世界。

ショパンの時代
・音域7オクターブへと進化した近代ピアノ
・響きの持続が可能
・楽器の完成度を繊細に活かす音楽
・」心の奥を照らす音楽

歌う旋律、繊細なペダリング、内声の色彩、ルバートによる自由な呼吸。

「楽器の進化」と「精神の変化」

両者を並べて考えることで、響きの扱いや音の重みの意味までが、より鮮明に見えてきました。

学びをこれからの演奏へ

私自身、ベートーヴェンやショパンの作品を演奏する機会が多くあります。

今回の学びを通して、

・発音の明瞭さ
・響きの溶け合い
・音の立ち上がり
・ペダルの深さ

そして何より「佇まい」

これらを大切にしながら、作品と向き合っていきたいと強く感じました。


アパッショナータ 白石光隆 ピアノ 2021年9月 東京文化会館 ライブレコーディング

心に残る演奏

講座の最後に、白石先生が演奏してくださったのは
ヨハネス・ブラームスの〈間奏曲 作品118-2〉

静けさの中に秘められた情熱。
深く、温かく、包み込むような響き。

その美しい音楽に魅了されてるひとときでした。

作曲家の精神、時代背景、そして楽器の進化。
音楽は常に「時代」とともに呼吸をしているのだということを改めて感じた学びの時間となりました。

今後のレッスン、そして自身の演奏にも、この気づきを丁寧に活かしてまいります。

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